ずっと一緒に暮らしていたねこのココが逝ってしまった顛末を記事にしました。
ペットといえど,長年一緒にいると家族のようなものです。
そのダメージは思いのほか大きいので,こころの準備は必要かも知れません。
これまでの前編
獣医にて
「うーん,あまり良くないですね。
まだなんとか持ち直すときには体温が高熱なことが多いのですが,この子の体温はとても低いです。採血して調べてみましょう。」
普段の食生活や生活の状況,去勢の有無と急に様態の悪くなったことを聞きながら,
彼女の体をさすったり体温を測ったりしてから先生はおっしゃいました。
別室の検査室に助手と一緒にココを連れていき,私だけがひとり部屋に残りました。
待つ間にも
何か悪いものでも食べたのか?
治る見込みは?
家内が泣くだろうな。
急に悪くなったのだから良くなることもあるのでは?
これまで具合の悪いことは一度もなかったのだからだいじょうぶだ。
脈絡もなく頭の中でさまざまな思いが沸いては消えていきました。
息苦しい。
どのくらいの時間がたったのか?
先生がココを抱いて戻って来られました。
「腎臓の数値が通常の十数倍にもなっています。
炎症値も異様に高い。
人間であったのなら人工透析器で血液を入れ替えたりするのですが,
この子は体重も軽く事実上そういうこともできません。
とりあえず今から抗生物質とブドウ糖の点滴をして様子を診ましょう。」
今まではキャットフード以外は用心して食べなかったのですが,ここ3月くらい牛乳をしきりに欲しがるようになっていました。
ツナ缶は1年前から。
台所にいるとしきりにねだるので,家人もこれを与えていたのです。
そのことを説明し,それらを食べさせたことが悪化した原因なのか,尋ねました。
「急に具合が悪くなったのではなく,生まれてこれまでの間に体内で蓄積されてきたものが限界を超えたのでしょう。」
ということでした。
抗生物質を注射し,点滴をすると幾分楽になったような様子。
注射針は痛いだろうに,ピクリとも動きませんでした。
翌日また連れてくるように言われ,1万数千円の治療費を支払い,その日はそれで帰りました。
家に戻り,家内と息子に状況を詳しく説明しました。
ココを寝床に移すと,こころもちぐったり感が減り静かに眠っています。
このまま持ち直してくれればいいのだけど・・・。
かいづか 海の傍の新居
この本拠であるマンションに越して1年と2か月になります。
永年勤めていた仕事を退職したので,家族のいる本拠地のマンションに戻ったのです。
彼女にとっては初めての地。
以前の1DKとは違って3LDKマンションで100㎡と広くなります。
同居者は家内と息子を加えて,人間が3人です。
それに加えて老犬が1匹。
引越し業者はペットを運びません。
だから2週間前に彼女と手荷物だけを車で運びました。
連れて来られたときには,ココは緊張してテレビラックの裏に隠れて出て来ませんでした。
それが三日もしないうちにすっかり家族にもなつき,わがもの顔にすごしています。
2週間後の引っ越しで,私はすべての荷物と共に帰ってきました。
けれども,あろうことか
私がいるとラックの裏から出てきません・・・・・。
家中の笑いを買うこととなりました。
6年も一緒に住んでいたのに。薄情なやつだ。
家内やむすこがいると出て来ます。
猫はもともと犬と違い,独立心が強い動物です。
それならそれで,他のものに対してもネコの気概を見せろよ。
エサで買収されやがって・・・
・・・すこし寂しい。
老犬ソラとの確執?
そんな彼女も老犬のソラには面食らったようです。
18歳になる白い老犬。
スピッツの雑種で,若い時には矢のように走りました。
芝生の上を猛ダッシュで走り,ターンを繰り返す。
あざやかな緑一色の草のキャンバスに,真っ白の線が縦横に引かれます。
その姿は本当に美しかったのです。
そんなソラも今や老いて足は萎え,引きずりながら歩くのが精いっぱい。
目もほとんど見えません。
今は排泄もままならなくなったので,廊下が居住スペースになっている。
ただ往年のくせなのか生存への本能か。
起きている限りよちよちと,歩き続けているのです。
ココにとっての異生物との出会い。
彼女はソラが怖いようです。
ココは広いリビングが居住スペースなのに,家中を徘徊しようとします。
各部屋との間の廊下に犬のソラがいる。
ソラはもともと気の良い犬です。
においで猫がいるのは分かっているでしょうが,気にもしません。
あいかわらずヨチヨチ廊下を歩いています。
「シャー!」
毛を逆立て威嚇するココ。
怖いのならリビングにいればよいのに💦
好物が増えた
新居に来て好物が増えました。
以前与えたことはあります。
そのときは,どちらも毒見する程度しか食べませんでした。
ツナ缶
家内が息子の弁当に毎日おにぎりを作ります。
以前は弁当だったのですが,息子の要望でおにぎりになりました。
昼休みにスマホを観るため,手で食べられるものが良いそうです。
6つのうちの3つに昆布。残りの3つにツナを入れます。
パッカン
缶詰を開ける音がするや飛んで来ます。
最近では時間もわかってきて,そのころには台所の入り口で待機しています。
牛乳
台所でコーヒーや料理を作っているとゆったりとした足取りでやって来ます。
まるで用もなく,散歩を楽しんでいるように。
そして意味深に足にからだをすりつけて,豊かなしっぽでパタッパタッと叩きながら通り過ぎるのです。
これを何度も何度も飽きもせず繰り返します。
お茶を飲もうと冷蔵庫から出すと
「なーぁぁぁぁ
(ちがうでしょ)」と抗議をします。
だれが覚えさせたのか大好物になりました。
これまでは食事のキャットフード以外で,ねだるようなことはなかったのに。
ぴちゃぴちゃと幸せそうになめています。
今のほうが幸せそうです。
のびのびとしています。
広くなったから?
家族が増えたから?
よくよく考えてみました。
ひとりぼっちになることが
もうなくなったからかも知れません。
翌日の再診
ココは静かに眠っています。
自分では無理ですが,水も少し飲むようになりました。
なんとなくこのまま良くなるような気がします。
家族にもすこし笑顔がもどってきました。
前日と同じ時刻にまた箱に寝かせて,今度は家内とふたりで獣医に行きました。
昨日は怖くてついて来なかったのです。
治療台に横たわらせると,昨日とは違ってココは立ち上がろうとします。
「うん。昨日よりも良くなっていますね。ちゃんと力も入っている。
今日も注射と栄養剤を入れますので,様子を診ましょう。」
水分の吸収をよくするため,飲料水はSR1にしたほうがよいかを聞きました。
先生ははすこし考えてから,
「塩分がきついので,ポカリスエットのほうが良いですね。」
と答えました。
帰りに最寄りのコンビニでポカリスエットを買い,連れてもどりました。
ココはうめきもせず,静かに眠っています。
このまま良くなってくれればいいのですが・・・。
別れ
忘れられないから書き出したこの記事も,
彼女が逝ったくだりになって筆が進まなくなりました。
昨日やっと書けました。これからすこしずつイラストをつけていきます。
ご興味があればお読みください。