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映画のイラストを描いてみた(クリスマスイブ)グリーンブック5 聖夜

白人でも黒人でもない。男でもない。私は何なんだ?

「先に書くんだよ。

寂しいときは,自分から先に手を打たなきゃ。」

愛するドロレス

愛するドロレス

 木々の葉は落ちて

灰色と茶色に変わった。

 白い雪が木の枝に積もり

おとぎ話の世界のようだ。

 待ち遠しい

キミをこの腕に抱きしめるときが。

 愛している

    トニー

ブロンクスのトニーの家では,親戚,友人が集まり

ホームパーティの最中だ。

 男たちはポーカーを楽しみ,

女たちはドロレスが読み聞かせる手紙を,うっとりと聞いている。

女房たちに手紙を読み聞かせるドロレス

「ジョーン,私も手紙が欲しい!」

「ああ,料理を作ったらな。」

「あいつにそんな文才あったっけ?」

ドクのツアーは大成功でどこに行っても,盛況だ。

ツアーの終わりも近い。

豪雨の夜

豪雨の中でパトカーに停められ,

あまりの暴言にトニーが手を出してしまい,ブタ小屋に放り込まれるふたり。

 何もしていないドクまでほり込まれる。

 結局,ドクが機知である司法長官のロバートケネディに連絡し釈放となった。

 釈放されて,ふたりは口論となってしまう。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

 ロバート・ケネディは当時アメリカで大きな問題となりつつあった

人種問題(公民運動)にも積極的に関与していた。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

 ドクも2度ホワイトハウスに招待されており,

ある意味で同志であったのだろう。

「黒人の私はいつも耐えている。一日くらい我慢しろ。」

「黒人差別と闘っている彼に私用で助けを求めてしまった。

恥ずかしい・・・。」

トニーは面白くない。

「へッ。おれのほうが黒人(庶民)をよく知っている。

俺たちは毎日家族を食わすために懸命に働いているんや。

あんたはお城に住み,貧乏人のことなんて何もわかってない!」

「・・・停めろ。」

「いやだね。」

「停めろと言ってるんだ!!」

 あまりのドクの凄まじさに車を停めるトニー。

 何も言わずに凍える土砂降りのなか,

車から降りて歩き続けるドク。

 驚いたトニーは懸命に戻るよう説得するが,

その手を払いのけ叫んだ。

「そのとおりだよ!

私は独りで城住まいだ。

金持ちは教養人と思われたくて私の演奏を聴く。

そのとき以外はただのニガー。

それが今の世の中だ!

軽蔑を私は独りで耐える。はぐれ黒人だから。

黒人でもなく,白人でもなく,男でもない私はいったい何なんだ?!

ドクの心の奥にある本当の苦悩が爆発する。

言葉もなく立ちつくすふたり・・・・・。

白人でも黒人でもない。男でもない。私は何なんだ?

黒人モーテルにふたり

 疲れ果て黒人用モーテルに相部屋のふたり。

 トニーはあいかわらず手紙を書いている。

「見せろ。手直しをする。」

「いや,もうええわ。書くコツを覚えたんや。」

とりあげて,文面を読み上げるドク。

「君は家に似ている。

そこは明かりが灯っていて,幸せな家族が暮らしている・・・・・。」

文面を何度も読み直し,ドクは心底しみじみと,

「・・・・・本当だな。いい手紙だ。」

「帰ったらあんたも兄貴に手紙を書いたら?」

「兄は私の住所を知っている。」

「ドク・・・先に書くんや。

寂しいときは,自分から先に手を打たんと。」

ベッドの上で黙って聞いているドク。

最後のステージ

 最後の公演となるクリスマス前夜。

 ゴージャスなホテルでの演奏前に

レストランで食事をとろうとしたところ,

黒人は食事することができないと言われ,堪忍袋が切れるドク。

「このレストランで食事できないのなら,演奏はしない。」

ホテル支配人から説得するように金を渡されるトニー。

支配人を殴りそうになるトニーをドクが止める。

「きみがいうなら私は演奏する。」

視線が合うふたり。

「こんなところ,出て行こうや。」

 一流ホテルでの400人のディナーショウだけに,

真っ青な顔をして大声で追いかける支配人。

 黒人のボーイたちの気の晴れた笑顔。

コンサートをボイコットする二人

 クリスマスイブまでにどうしても帰りたいトニー。

 豪雪のため,思うように走れない。

 深夜に入り,睡魔のために諦めるトニー。

家族は親類も集まり,盛大な準備のさなか。

聖夜の夜

 なぜかニューヨークに到着する車。

なんとドクが運転してきたのだ。

 トニーをたたき起こし,カバンを持たせるドク。

家に来るように誘われるが,断る。

「メリークリスマス。おやすみ。」

 豪雪の中,なんとかして運転して帰る。

お城の王様

 お城(カーネギーホールの上階)で待つインド人の執事にも,

家族のために早く帰るように指示し,ひとり広い広間に残る。

 見事な調度品が所狭しと飾られている豪華な広間。

 定席の玉座に座ることもなく,

ひとつのイスに腰掛けてぼんやりと玉座を眺めている。

 ひとりぼっちのお城の王様・・・。

 なにやらすべてが虚しい。

 じっと手にある石を見ている。

 トニーがくすねた緑の翡翠石だ。

しばらく見つめて,

静かにゆっくりと机の上に置く。

トニーの家

 家族親戚が集まりパーティ中の家に帰るトニー

 家族に囲まれるトニー。

 愛するドロレスとも会えた。お互い目で労わっている。

 会食でドクのことを聞かれるが

「ニガーと言うな。」

というトニーの発言に一同開いた口がふさがらない。

(出発前は一番の黒人嫌いだったのに)

 突然ドアがノックされる。

 迎えに行くと質屋の老夫婦。

「メリークリスマス。」

快く迎え入れ,ドアを閉めようとしたところ,

ワインを持ったドクが,はにかみながら立っていた。

ドク!

全身で抱き合うふたり。まさに親友だ。

部屋に招き入れる。

「紹介しよう。ドン・シャーリーだ。」

突然,黒人が来たので親戚一同固まってしまう。

台所から,老夫婦にコーヒーをいれたドロレスがドクに気づいて駆け寄る。

「ドロレスだね。大事な御主人は返したよ。」

トニーの表情を見て,思わずドクに抱きつくドロレス。

耳元でそっとドクに

「手紙をありがとう。」

えっと,ドロレスの顔を見て,ばれてたかというような満面の笑顔でハグするふたり。

そして夜は深けていく。

クリスマスパーティに訪問するドク

余談

 ふたりは実在した

 ミュージシャンのドン・シャーリー

とその後,コパカバーナの支配人となったトニー・リップ

であり,

 ずっと親交は続いいて,どちらもじいさんとなった2013年に亡くなったそうだ。

 親友というものはいいもので,

このふたりは初めて会ってツアーに参加して生活を共にしてそうなった。

 でもそれは別に特別なことではなくて,

日ごろから虫の好かないやつと思っていたけど,あることから親友になったりもする。

 筆者にもひとりいて,そいつとはもう40年の付き合いになる。

 周りをよく見わたしてみましょう。

ほら,となりで釣り皮につかまっている人がそうかも知れませんよ?

しんしん

私流に解釈,味付けして書いてみました。

 毎回,描きたい絵が頭に浮かび,選ぶのに苦労したこと。

 時間がなかったので,なぐり描きになったことが悔やまれます。

 本作を観ていただいて,その良さが味わっていただけると幸いです。

読んでいただき,本当にありがとうございました。