映画

映画のイラストを描いてみた(後で思い出す)グリーンブック4 人生最大のピンチ

手紙を書くトニー 

「俺はニューヨークのクラブで働いていたから知っている。

世の中は複雑や。」

ある日の二人の会話

 フィッシュチップスの店前の野外テーブルで食事をする二人。

 トニーは食べながらも一生懸命に書いている。

「それは何だ?」

「手紙や。」

「切り貼りの脅迫状と思った。見せてみろ。」

「親愛なるのスペルが間違っている。」

・・・

尋ねる先で町のお偉方に会ってる。

難しい言葉を使う連中だ。

おれは得意のデタラメでかわしている。

チップスを食いながら書いているんで,のどが渇いてきた。

くつしたを洗ってテレビで乾かした。

やっぱりアイロンを持ってきたら良かった。

「・・・・・💦

いったい何が言いたい?」

「さあ・・彼女が無茶くちゃ恋しいんかな?」

「なら,そう書け。

汚い言葉を使わずに誰にも書けない手紙をね。

例えば・・・・・。」

愛するドロレスへの手紙

愛するドレス。元気かい?おれは元気にやってる。

愛するドロレス

キミを思うとアイオアの美しい草原が目に浮かぶ。

おれたちを割く距離が気を滅入らせる。

キミのいない時間と経験は意味がない。

キミとの恋は前世からの運命や。

誰よりも大切なキミ。

命の尽きるまでおれと共にある。

PS

子供たちにキスを。

     トニー

感激するドロレス

人生最大のピンチ

 小さなことが重なって大きな判断ミスをしてしまうことが往々にしてある。

 後になってわかることだが,そのときにはわからない。

 火が燃え尽き,何年も経ってから,ふと気づく。

 また,あのときにある人物がいたから救われた。

なんてことが長い人生の中では結構ある。

 あなたが気づいていないだけだ。

ジョージア州メイコンの服屋で

 良さそうな紳士服店を見つけ,ショーウィンドのスーツを試着しようとするドク。

トニーの試着と思っていた店員が慌ててもぎ取る。

「購入いただきましたら,寸法は合わせます。」

 黒人に新品のスーツに袖をとおすことはやめてくれと,言下に語っている。

 微妙な笑顔で何事もなさそうに出て行くドク・・・。

 その日のコンサートは,火のついたような迫力のある演奏だった。

 演奏の終わった夜。

トニーの部屋に警察から電話が入る。

YMCAスポーツクラブ

急いで駆けつけたのは,YMCAのスポーツクラブの室内プール。

警官に案内されて行くと,真っ裸のドクと白人の男がシャワールームに座らせられている。

「タオルくらいかけてやれ。」

オバサンを逮捕する。」

「あの男と一緒にいた。」

 嘘ではないようだ。

 どうやらドクには同性愛の性癖があるようだ。

 一流のピアニストが同性愛者として逮捕されれば,身の破滅だ。

一生活動できない。

 トニーは瞬時に決断する。

「俺たちはただの通りすがりや。話をつけよう。」

「釈放してくれたら,礼をする。」

「買収する気が?」

「アホ言うな。感謝を込めた礼やで。」

「何の礼だ?」

「あんたら警察官の働きに感謝する寄付やで。」

「何がいい?さっき町でええ服屋があった。

あんたらの寄付として背広を1着ずつ進呈しよう。

たまにはめかして,カミさんと飯を食いに行ったら?」

札を数えながら

「当然の骨休めや。」

顔を見合わすふたりの警官。

得意のデタラメで警官を巻き込み,なんとか開放してもらえた。

ドクは買収したことを怒っている。

「警官にあんなことをするなんて。」

「スケジュールを守ることが,おれの仕事やからな。」

「買収した。」

「仕方ないやろ。

ばれたら永久に失業やろ?」

「トニー,気をつかうふりはよせ。」

「なんやて?」

「演奏会に穴が開くと給料が心配なんだろ?」

「おれを自分のことしか考えへん男と思うのか?

恩知らずめ!」

「俺が助けたんやぞ!ちょっとは感謝しろ。

ひとりで出歩きやがって!!」

「・・・きみに知られたくなかった。」

なにも言えないトニー。

顔なじみとの再会

 翌日,次の公演場所のテネシー州メンフィスの一流ホテルについた。

 偶然,トニーはニューヨークの悪友たちと再会する。

「トニーリップ!」

「おまえらこんなところで何してんねん?」

「ちょいともうけ話があってな。」

「野暮用や。」

「あの黒んぼは?」

イタリア語で話しているからドクが側にいても遠慮なしだ。

「ボスや。」

「どうかしてるぞ。仕事が欲しいのやったら,口きくで。

今週いい話がある。ガッポリ金になる仕事や。」

「稼ぎはある。」

「今の2倍稼げるぞ。」

「今は仕事中や。」

「それやったら8時にバーで会おう。」

「わかった。」

ドクの提案

 8時になり,バーに行くため部屋から出たトニー。

 廊下になぜかドクがいる。

「どこへ?」

「バーで1杯飲んでくる。」

「さっきの友達か?」

なんとイタリア語で話すドク。

驚くトニー。

「仕事の話なら私からもある。

トニー,君はいい仕事をしている。

だから君を正式なツアーマネージャーに雇いたい。

肩書と共に責任も重くなるが,給料も上がる。」

「・・・・・。」

「いや断る。辞退するわ。」

どうしていいかわからず,ドギマギするドク。

「約束は経費別で週給125ドル。そうやったやろ?」

口に出せず,うなづくドク。

「おれは辞めないよ。やつらにもそう話す。」

なにも言えないドク。

ヘッと笑いながら階段を降りていくトニー。

ようやくドクが呼び止める。

「トニー。」

ふり返るトニーに,謝るドク。

「昨夜は悪かった。」

手を振り,答えるトニー。

「気にすんなよ。」

少し考え,さらりと流す本当の優しさ。

「俺はニューヨークのクラブで働いていたから知っている。

・・・世の中は複雑や。」

見送るドク。

ホテルのロビーで飲み明かす二人

 フロリダの南西部の教会でピアノ奏者の母と共に流れていた子供が見いだされ,

レニングラード音楽院留学。

 一流のピアニストとなったが,黒人はクラシックではチャンスはない。

 ポピュラーピアニストとして有名にはなった。

しかし,クラシック奏者としての引け目が心奥深くにあるので自分を卑下している。

「クラシックで教育を受けた?

あんたはアシカか?

ベートーベンは大勢が弾く。

あんたが弾くピアノはあんただけやろ。」

 本当に嬉しそうなドク。

 初めて親友と呼べる男と知り合ったからなのかも知れない・・・・。

次回最終話

白人でも黒人でもない。男でもない。私は何なんだ?
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